過失割合に不満がある方へ

1 過失割合が大きな問題となる理由

過失割合に不満がある方へ過失割合とは,事故の発生に対して,双方にどれだけ落ち度があったかを示す割合です。

例えば,自分:相手の過失割合が2:8だとします。

自分の損害が100万円だとすると,100万円に相手方の過失割合8割をかけた80万円を受け取ることができます。20万円は自己負担となります。

同時に,相手の損害が80万円だとすると,相手の損害のうち,80万円に自分の過失割合である2割をかけた16万円も負担することとなります。

全体を見ると,自分の損害のうち20万円+相手の損害のうち16万円=36万円を自分で負担することになります。

自分の過失割合が3割の場合,同様の計算をすると,54万円を負担することになります。

(※ 実際には,加入している保険や特約によって,最終的に負担する金額は変わってきます。)

このように,過失割合で賠償額は大きく変わることになります。

また,下の「4 過失割合と治療費」で記載しているように,過失割合によっては望ましい通院の仕方が変わってくることもあります。

 

2 過失割合に納得できない方

しかしながら,過失割合の本当の問題はお金の問題ではありません。

自分は普通に運転していただけなのに,なぜ,自分に過失があるといわれてしまうのか,相手からも納得の行く説明がない,気持ちの問題が真の問題になることが多いのです。

これは,過失割合の判断は極めて法律的な判断であり,本来保険会社が判断することは難しいため,残念ながら根拠のあるきちんとした説明がされることは多くないことが原因です。

 

3 それでは過失割合はどうやってきまるのか

双方に過失がある場合,過失割合がどうやって決まるかを解説します。

まず,①どのような事故か,が問題となります。

どのような事故かを判断するためには,車載カメラの映像など,客観的な資料が大切です。

車載カメラなど,事故を写した映像が無い場合,どのような事故かは刑事記録をはじめとした客観的な証拠や,事故に遭った方のお話から推認していくことになります。

話の内容,車両の損傷状況や,損傷した位置,道路の形状などから,どの程度の速度で,どのようにぶつかったか,事故の状況を推認していきます。

次に,②今回の事故を,過去の裁判例と比べた位置づけ,が問題となります。

交通事故は多くの裁判例が集積されており,似たような事故は必ずあります。そこで,①で把握した事故態様を元に,過去の裁判例と比較することで過失割合を検討します。

ただし,全く同じ事故はありません。似たような事故でも,微妙に事実は異なります。この微妙に異なる事実関係が法律的に過失割合にどのような影響をもたらすかを的確に把握することで,初めて過失割合を判断することができます。

この作業は極めて法律的な判断となるため,弁護士を始めとした法律家以外の方が適切に判断することは難しいといえます。

気を付けていただきたいのは,保険会社がいうような抽象的な事実だけでは過失割合は決まらないということです。例えば,「交差点における直進対右折の事故だから。」という理由だけで過失割合が決まることはありません。

また,「双方動いているから過失は0にはなりません。」という理由だけで過失があることになるわけではありません。実際に,当事務所の弁護士が担当した事件で,双方車両が動いていた事故で裁判を起こし,過失がゼロと認められた事案もあります。

過失割合の判断は極めて専門的な事項ですので,相手方の主張を鵜呑みにして諦める前に,ぜひご相談ください。

 

4 過失割合と治療費

過失割合が大きい場合は治療費の支払いについて気を付けなければなりません。

治療費は事前に保険会社が前払いしてくれることがあります。このとき,治療費を自分で払っていないため自覚を持ちにくいですが,実は治療費のうち,自分の過失割合分は自分で負担しているのです。

この自分で負担した治療費は,示談の段階で慰謝料から引かれてしまうため,気が付かないうちにもらえる慰謝料が減ってしまう場合があります。

もちろん,一番大切なのは,自分の体を治すことですが,お金の問題も同様に大切です。治療と経済的な負担の最も良いバランスがどこかは事案によってそれぞれ異なります。

この観点からも,弁護士にご相談することをお勧めしています。

 

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