医療の世界では「セカンド・オピニオン」という考え方は当然になってきています。
「セカンド・オピニオン」が定着すると,医者の先生も患者さんをただ治療するだけでなく,患者さんに丁寧に治療について説明・対応するようになるなど,良い効果が多く見られます。
しかし,弁護士は敷居が高いのか,まだまだ依頼した弁護士の先生に「全てお任せする」という意識が強いように思えます。
この発想は変わらなければなりません。
弁護士に依頼をされる方は大きな不安を抱えています。
弁護士は,事件を処理するだけでなく,依頼者の不安を取り除くなど,気持ちの問題も重視しなければなりません。
当事務所の依頼者でも,他の弁護士事務所に依頼していたが,依頼を変えたいという方がよくいらっしゃいます。
事務所を変えたい理由として,今まで依頼していた弁護士の能力に問題があったとおっしゃる方はほとんどいません。弁護士事務所から連絡がこない,弁護士の対応が悪い,今事件がどうなっているのかわからないといった,弁護士と依頼者の信頼関係が築けなかったことを理由としていらっしゃる方がほとんどです。
それでは,どうやって信頼関係を築くのかといえば,もちろん,事件を迅速に処理すること,依頼者と緊密に連携をすることは大切です。
一方で,事件処理の見通しをどう伝えてよいのか,悩むことが多くあります。
相談のときには,できる限り依頼者の願いをかなえてあげたいと思います。なんでも自分に任せてくださいと言いたい気持ちはあります。
しかし,弁護士は,依頼者の言うことを肯定するだけでは仕事はできません。たとえ目の前でがっかりされても,厳しい見通しがあるときはきちんと伝えることが弁護士としての誠意です。
弁護士とは理想と現実の間で揺れ動く存在ではありますが,せめて一人一人の依頼者ときちんと向き合う弁護士でありたいと思っています。