後遺症の適正な損害賠償額について

1 後遺障害の等級で慰謝料は大きく変わる

後遺障害とは,ある程度治療をしても,身体に障害が残ってしまうことをいいます。

後遺障害の申請をしたいと思った場合,まずは自賠責損害調査事務所から等級の認定を受けることになります。

後遺症に対する慰謝料は,この等級を基準にして決まります(※)。

例えば,手足の先に痛みやしびれが残ってしまい,「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)として,後遺障害12級の認定を受けたのであれば290万円,「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)として,後遺障害14級の認定を受けたのであれば,110万円が基準となり,この額に具体的な事案を考慮して最終的な額が決まります。

一方,後遺障害の認定を受けられなければ0円になってしまいます。

このように,後遺障害の等級によって損害額も大きく変わってきます。
適正な補償を受けるためには,適切な後遺障害の等級認定を受ける必要があるのです。

※ 裁判では,後遺障害の等級自体が争われる場合もあります。

 

2 後遺障害の申請はできるだけ早い段階から考えた方が良い

後遺障害を認定するための審査は,一部例外もありますが,原則として書面審査です。

診断書(特に後遺障害診断書),診療報酬明細書,画像等から,後遺障害の認定がなされるため,適切な後遺障害認定を受けるためには,適切な書面を提出する必要があり,特に医師の意見が重視されます。

よって,事故のできるだけ早い段階から,医師に適切な診断書等を作成してもらうことが大切です。

しかし,後遺障害の認定基準は一般的に公開されているわけではなく,医師としても後遺障害認定を受けられるように法的ポイントを踏まえて診断書等を作成するわけではありません。そこで,治療のできるだけ早い段階で弁護士に相談して,診断書にどのような記載をしてもらうのか,医師にどのように痛みを伝えるのかなど事前に相談しておくことが重要です。

当事務所は,顧問医がおり,医師との連携の下,適切なアドバイスをすることが可能です。

 

3 後遺障害が認められることで,逸失利益も上乗せされる

後遺障害の等級認定を受けた場合にもらえるのは後遺障害慰謝料だけではありません。

後遺症によって労働能力が喪失したとして,逸失利益の請求が可能になります。

 

逸失利益は,

基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間(ライプニッツ係数による)

で算定されます。

 

労働能力喪失率とは,後遺障害によって働く能力が失われたことを数値化したものです。

労働能力喪失期間とは,後遺障害によって労働能力を失うこととなった期間をいいます。

このうち,実際の数字は具体的事案によって幅がありますが,労働能力喪失率と,労働能力喪失期間は後遺症の等級が基準となります。

上の例でいうと,12級の認定を受けた場合,労働能力が10年間,14%程度,14級であれば5年間,5%程度を基準とし,個々の具体的事案を考慮して最終的な数字がきまります。

このように,後遺症の認定は損害賠償額に大きく影響することになります。

 

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