1 物損事故で問題になりがちな過失割合
物損事故というと,弁護士を入れるまでもない,簡単なイメージがありますが,物損事故であっても弁護士に相談することをお勧めします。
なぜなら,物損事故であっても複雑な問題が多々あるからです。
物損事故で最も争いになるのが,過失割合ですが,過失割合は極めて法律的な問題で,弁護士を始めとした法律家以外の方が適切に判断することは難しいといえます(詳しくは,「過失割合に不満がある方へ」を参考にしてください。)。
2 iPadが壊れたら
物損事故で請求できるのは,車の修理代だけではありません。実は請求ができるものはいろいろあります。
① 車載物
まずは,事故の衝撃で壊れてしまった,車内にあった物(車載物)があります。
壊れやすいからか,車載物として最も多いのは,アイパッドなどのタブレット端末です(ちなみに眼鏡は体の一部として,怪我についての示談に含まれることが一般的です)。
他には,ベビーカーなども良くあります。
② 評価損(格落ち)
事故を起こしたことによる評価損も複雑な問題です。
これはページを改めて説明します(リンク)。
③ 時価額そのものを争う
車両の時価額よりも修理費が上回った場合,車両の時価額までしか補償されません。走行距離が長い車や,生産されてから長期間経っている車両は,時価額が著しく低下するおそれがあります。
従って,時価額が著しく低い場合,車を修理することはできないけど,新しい車を買うこともできない,という事態が発生してしまいます。
しかし,この場合でもまだ諦めるには早いといえます。
なぜならば,車両の時価額の算定方法には,いろいろなものがあるからです。
一般的に,中古車の価格は,レッドブックといわれる自動車の価額が掲載されている本を参考にします。
しかしながら,実際の中古市場では,レッドブックで算出した額では同車種,同走行距離の車両を買うことができない場合もあります。
このような場合,実際の中古市場の車両の価格を調べるなどして,レッドブックで算出した価額と現実の中古市場の価格が乖離していることを主張し,現実の中古市場の価額が時価額では妥当であることを主張していきます。
上に挙げた項目の他にも,車両の買い替え費用,代車費用やレッカー代など,請求が漏れたり,額が争いになる項目は多くあります。
また,物損について示談してしまうと,車載物などは請求できなくなってしまいます。
このように物損事故も複雑な問題が多くあるため,弁護士に相談することをお勧めいたします。