定年後に減収があると想定される場合,減収を逸失利益において考慮すべきか

〇 問題点
定年後に減収があると想定される場合,減収を逸失利益において考慮すべきか。
(最新の日弁連交通事故相談センター本部嘱託・委員会委員合同研究会の報告より。)

〇 裁判例の傾向

① 定年制度有りの場合
全体の傾向として3分の2程度の事件で減収を考量するようである。
考慮するといっても,定年後直ちに収入が0になるという判断ではなく,定年後は賃金センサスを用いたり,再雇用制度後を考慮したうえで金額を決定している。

② 定年制度無しの場合
ほとんどの事件で67歳まで(なぜ67歳かは割愛。)同一額を基礎収入としており,減収を認めていない。

定年制度無しの場合に減収を認めていないのは,一般的な定年後の減収を認めつつも,事故後の昇給や退職金が原則として考慮されないことを踏まえてだと考えられる。
そうであれば,定年制度ありの場合にも同様の理屈は当てはまり,定年制度有りの場合も減収を認めるべきではないという結論になろう。

結局は事案毎によるのだが,定年後に収入を0にしてしまうと著しく逸失利益が低額になってしまう。定年後に収入が0になるという主張は相手方から良くされる主張であり,裁判例の傾向も踏まえた反論を用意しておく必要がある。
 
以下,同記事に掲載されていた,裁判所が考慮する事実について,有用であると考えられるので記載する。
① 被害者の性別,年齢,職業
② 就労可能年齢になった以降の就労及び収入の実績,経緯
③ 事故時の実収入額,当該収入額の内訳
④ 勤務先の規模,他の従業員の年齢,収入
⑤ 定年制度,再雇用制度の有無,それを利用した従業員の人数や待遇
⑥ 一般的な定年年齢
⑦ 賃セ年齢別における,各年齢毎の金額の変化
⑧ 退職金逸失利益の請求の有無,同認容額の有無

 

 

 

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