被害者がむち打ち(頸椎捻挫)をした場合に,相手方の弁護士や保険会社から ジャクソンテストやスパーリングテスト(神経症状テスト)が陰性だから,怪我の程度は軽いはずである。 と主張される場合があります。 この主張は,「レントゲン,CT,MRIで異常が無い(画像所見が無い)とむち打ちの症状は軽いのか?」と同じで, 完全に的を外しているものですが,やはり適切に反論できない弁護士が多いのもまた事実です。 そもそも,ジャクソンテストやスパーリングテストは椎間孔を狭め,神経根症の有無を確認するためのテストです。 神経根症とは,↓の図のように,(ざっくりいうと)椎間板などが変形して,神経根という部位を圧迫している症状をいいます。 一方,むち打ちは神経,筋肉,腱といった軟部組織の損傷が中心であり,椎間板などの変形によって神経根が圧迫されるものではありません。 したがって,ジャクソンテストなどで椎間孔を狭めても,痛みが生じない=陰性なのは当然と言え, むち打ちの痛みがないということにはなりません。 ※)本稿は法律・医学的知識のない方向けに,かみ砕いたわかりやすい記載にするため,あえて100%厳密ではない表現をしている場合があります。 また,むち打ちでも画像上の異常所見がある場合や,神経根症を併発している場合もあり,その場合には別の反論が妥当します。 本稿の内容をそのまま個別の事件で主張した場合の責任は負いかねますので,必ず医学的に深い理解をしたうえでご主張いただきますようにお願いします。